戦後復興の兆しある2028年冬――。 国外カルテルの利権を巡るデモ活動が激化するニューポートシティで起きた警備の機動隊による無差別発砲事件。全てはファイア・スターターによる電脳感染が引き金だった。草薙素子率いる独立攻性部隊は己の正義を自らのゴーストに委ねて事態の制圧を図る。事件の裏に潜む“ブリキの少女”エマと“カカシの男”ブリンダジュニア。事件を追う草薙はその二つのゴーストが求めるものに迫る――。
恋人の義体技師ホセと逢瀬を交わす草薙素子の元に仲間となったバトーから西ノ内のビルで起きた爆弾テロの急報が届く。 現場に急行し制圧するとテロリストたちはファイア・スターターと噂される超ウィザード級ハッカーにより偽の記憶が植え付けられ、更に主犯のカルディス人の胸にはかつてクザン共和国で起きたカルディス人独立戦争の英雄“スクラサス”のシンボルマークであるティアドロップ・ダガーの刺青が刻まれていた。それを見た素子は「スクラサスは戦争中に死んだはず」と断言する。 同じ頃、山の手のダムで起きた爆発でひとりの刑事が殺されていた。 その所持品には“人魚の脚(MERMAID’S LEGS)”という店名の名刺と、“エアリアル”というタグのついた義体の脚部が遺されていた。事件を捜査する新浜県警の刑事トグサは、クザン共和国水企業の代表者サイードにたどり着く。 会議場の爆発物はなにか? ファイア・スターターの正体とは? ふたつの事件が交錯するとき、蘇ったスクラサスの狙いが明らかになる――。