浴びれば死に至る猛毒の雨≪ブルーシスト≫が降り注いだ大災禍≪新月の涙≫。 それから100年以上の時を経て、ようやく人類は克服への道を歩み始めていた。 荒廃した世界に点在する集落≪ネスト≫で 力強く生きる者たちのそばには、 人類双対思考型AI搭載ヒューマノイド≪メイガス≫の姿があった。 時は―― 西暦2242年 記憶を失ったまま眠りについたメイガスが、目覚めの時を迎えた――
生命の火が、この星を照らしている 2006年、瀬戸内海に面する四国の海運都市。 脚の故障で陸上選手の夢を失くした少女、星守明桜(ほしがみあきお)は親友の海添彩希(うみそえあやの)とともに高校に進学。部活や新しい友人たちと出会い、空っぽだった明桜は少しずつかつての自分を取り戻しつつあった。 しかし、ある日彩希が突如姿を消してしまう。 この星には、太古より続く戦いがあった。かつて神に与えられた、空の魂を持つ8体の巨人《星辰機(スターマキナ)》。 『これに乗り、百年に一度現れる《簒奪者》より生命の火を守れ。そして絶やすな』 その言葉に従い、星辰機に選ばれた乗り手は戦い抜いてきた。 それから幾星霜。全ての星辰機が斃れてから100年。 次の100年を繋ぐため建造された人工の巨人《星辰機・デスタニア・レプリカ》の精神燃料として捧げられた彩希の魂に選ばれ、明桜は全ての生命を守る戦いに巻き込まれていく。 彩希とともにいるために。彩希へ一歩踏み出すために。そしてもう一度、自分を信じるために。 運命を奪い奇跡の熱量が爆ぜた時、存在しない9番目の巨人が目覚める。 其は《ヴァリシア》。冥王の名を冠する白亜の戦士。 ――これは、すべての始まり。 きっといつか忘れられる、ありふれた星の、私たちの物語だ。